「王様ゲーム」
金沢 伸明 著 読了。
発売当初は爆発的なブームを巻き起こした「王様ゲーム」シリーズ。
昔、ハードカバーで読んだことがあったのですが、内容を忘れてしまったこともあり、文庫で全て読み直してみることにしました。
全部で12冊も出版されているので、全部読んで、全部書評するだけでもそこそこ時間がかかりそうですが、気長に書いていこうと思います。
12冊分の書評記事をアップした後は、王様ゲームシリーズのまとめ記事を書いてみても面白いですね。
とんでもない分量になりそうですけども(笑)
さて、この王様ゲームシリーズは、サバイバルホラーの作品です。
王様と名乗る謎の人物からクラス全員にメールが届き、そこに書いてある命令を守らなければ死んでしまうという設定。
そして、次々訪れる命令に、クラスのメンバーが立ち向かっていく姿が描かれています。
絶対に助からない絶望をうまく表現していて、読者もハラハラする作品となっています。
ページ数は多いですが、会話が多く、すらすら読み進めていけますし、物語にスピード感があるので、一気に読み切れる感じもお勧めできます。
それでは、12冊あるうちの1冊目、「王様ゲーム」の書評を書いていきましょう。
今回のトピックはこちら!
「王様ゲーム」のあらすじ
ある日、高校1年生のクラス32名に「王様」からメールが届いた。
そのメールには、クラスメイトのある男女を名指して書いており、1日以内にキスしろと書かれてあった。
クラスのメンバーは、どうせいたずらか何かだろうと盛り上がっていたが、実際に命令に背くと死んでしまうことが判明する。
次第に命令の内容も激しくなっていき、どんどんクラスメイトが死んでいく。
そんな絶望的な状況の中、主人公の金沢伸明は、なんとかしてクラスメイトを死なせないように、そして王様ゲームを終わらせるために走り回る。
果たして、王様ゲームが行き着く先には何が待っているのか。
伸明は生き残ることができるのか。
そして、王様ゲームはなぜ起こってしまったのか。
様々な謎と向き合いながら、死とともにあるサバイバルホラーが楽しめる1冊。
逃れらないデスゲームに巻き込まれたら・・・?
もしも、自分が逃れられないデスゲームに巻き込まれたらどうするでしょうか。
どうすると言っても、実際その立場になってみないと考えることも難しいですよね。
そもそも、命の危険がすぐそこに迫る状況なんて、想像することもできない気がします。
今の現状で考察すると、目の前で友達が死んでいったり、自分にも死の危険が迫っているとなると、諦めていく人と立ち向かっていく人、誰かに頼りきりで自分は特に何もしない中立の人に分かれていくのではないかと考えられます。
もうあがいても仕方ない・・・と諦めるタイプは、実際にゲーム初旬で犠牲になってしまうものだと思いますが、その犠牲が立ち向かうタイプの人の命を助けることにもなるし、何か謎を解くきっかけを与えるかもしれません。
諦めるタイプの人も、物語としては必要不可欠ということですね。
また、誰かに頼りきりの中立タイプも、物語の引き立て役になります。
立ち向かうタイプの人からの頼まれごとなら頑張って取り組むし、ある一定の数の人間をゲームに巻き込んだ物語を描くとなると、大半がこのタイプになります。
物語を進める上で、適度に必要な役者として立ち回っている感じ。
そして、何より大きな影響を与えるのが立ち向かうタイプ。
多くの場合は、主人公であり、その主人公の親友や恋人の設定で登場します。
物語の中枢にいるメンバーですね。
このメンバーの立ち回り方や、危機に陥る場面などが、読みどころのポイントなっていきます。
という風に、小説を組み立てる目線で考察しましたが、実際に現実でデスゲームに巻き込まれても同じようなタイプに分かれていくものだと思います。
そこが直感的に「現実でもありえそう」と思わされるところに、王様ゲームの面白さがあるなーと感じています。
自分の命か大切な人の命か、究極の選択
もしも、このようなデスゲームで、
「自分の命か大切な人の命か」
という究極の選択を迫られたらどうするでしょうか。
物語の世界なら、大切な人の命を守る!とすぐに言えるものですが、実際に自分の命と天秤にかけられると決めきれないと思います。
もちろん、自分よりも大切な人を・・・と言いたい気持ちが強いですが、自分の死というものを本気で意識した時、どんな感情になるのかは想定できるものではありません。
本当に、その選択を迫られたとしたら・・・
てかてんはどんな結論を出すのでしょうか。
もしも、自分が犠牲になり、大切な人を守ったとして、残されたものの気持ちを考えるととても幸せになれるとも思えません。
でも、それを自分が背負うとして、相手の命を犠牲にできるとも思えません。
う〜ん・・・ここでどれだけ考えても結論は出ませんよね(笑)
こういったデスゲームの物語では、この究極の選択をせまられる場面が最も辛く、考えさせられるシーンになりますね。
終わりに
1巻なのにとんでもない展開が目まぐるしく駆け巡り、気がついたら焦燥感を得て物語が終焉に向かっている。
そんな感覚になった作品でした。
続きが気になるから読みたい!というよりは、気がついたら続きを読んでいるような感じで、一気に物語が進んでいきました。
多くの謎が残っているし、黒い感情や辛い感情とも向き合いながら・・・という感じですが、とても楽しむことができました。
徐々に謎を解決していきながら12巻続くストーリーなので、物語の真理は一気にわからないでしょうが、ずっと楽しみながら読み切れそうな予感です。
長い期間になるかもしれませんが、12巻分全ての書評を書ききるので、ぜひ読んでいただければと思います。
本日も、てかてんの書斎にお越しいただきありがとうございました!
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