【書評】「Aコース」(山田悠介)意識ごと移動できるVRゲーム!

 

 

Aコース (幻冬舎文庫)

 

Aコース

 

山田 悠介 著

 

 

 山田悠介さんが文庫にだけ書き下ろしたホラー作品。

 

今や話題沸騰中の「VR:ヴァーチャルリアリティ」を題材にしている「Aコース」では、映像だけではなく「意識や感覚すべて」がヴァーチャル世界へと移動できる画期的なゲームとなっている。

 

最新ゲームとしてゲームセンターに設置されたヴァーチャルゲームにて、AからEまで選択できるコースのうち、Aコースを選択する。

 

なるほど、タイトルになっている「Aコース」っていうのは、このゲームの中でのステージのようなものだったんだなぁと納得しました。

 

ゲームを題材とした小説作品はかなり好みですし、VRを設定にしている作品となると更に気になるところで、購入後は一気に読みきりました。

 

一気に読みきれる面白さと、180ページほどにまとまったライトな内容だったこともあり、わずかな時間でもサッと読みきれる1冊でした。

 

それでは、書評にいって見ましょう。

 

今回のトピックはこちら!

 

 


  • 「Aコース」のあらすじ

  • ゲームに無い想定外の事態に恐怖が増大する
  • フルダイブができるVRゲームがあったら?
  • 終わりに
  •  

     

     

     

    「Aコース」のあらすじ

     

     

    主人公の賢治を含む高校生5人組は、ゲームセンターに新設されたゲーム「バーチャルワールド」に興味を持ち、プレイしに行くことになった。

     

    AコースからEコースまでの全5コースが用意されており、賢治たちは「Aコース」を選択した。

     

    Aコースは、燃え盛る病院内からの脱出を試みるステージで、実際に熱を感じるのだという。

    脱出前に病院が燃え尽きてしまうとゲームオーバーなのだそうだ。

     

    さらに、ゲームはコースだけではなく難易度も設定できるのだ。

    「イージー」では敵の出現がない脱出だけの設定、「ノーマル」では弱い敵の出現、「ハード」ではなかなか倒せない強敵が出現する、ということだった。

     

    賢治たちは迷わず「ハード」を選択してゲーム世界にダイブしていった。

     

     

    襲い掛かる強敵を切り抜けながら、燃え盛る病院内を銃を装備した賢治たちが駆け巡る。

     

    説明には聞いていない設定が発生するなど、予想外の事態に恐怖を覚えながらも、ゲームクリアに向けて慢心するが・・・

     

     

      

    ゲームに無い想定外の事態に恐怖が増大する

     

     

    まず、ゲーム世界なのに「熱」を感じたり「痛み」を感じるというだけでも驚きますよね!

    本当にゲームの世界なのか?と疑ってしまうほど、リアルなゲームに楽しみもありますが、同時に恐怖も芽生えてしまうと思います。

     

    そして何より、当初ゲームセンターで聞いていた設定にはない現象が起こり始めると、ゲームがリアルすぎるため恐怖が隠せなくなっていきます。

    ただでさえ、敵との戦いに命をかけ、病院が燃えるスピードとの戦いで精神的にも消耗しています。

    普段経験しない戦いのシーンに、みんなの恐怖に陥っていく中、設定と異なる想定外な出来事に、さらに恐怖が加速します。

     

    だんだんと焦りが隠せなくなっていく賢治たちをうまく描いていて、「この先どうなるんだろう!?」と次が気になってしまう内容になっていました。

     

    ハラハラする感じ、いいですねー(笑)

     

     

     

     

    フルダイブができるVRゲームがあったら?

     

     

    最近、VR対応のゲームや動画なんかが話題になっていますよね。

    VRメガネのようなものを装着すれば、自分の視界がまさに「映像の中に入り込んだ」ような感じで、上下左右を見渡せば映像も伴って動いていきます。

     

    技術はどんどん進化していますよねー。

     

    小説やアニメの世界では、かなり前からVRを題材にした設定っていうのはよくありました。

    しかも、脳に直接電気信号を送り込んで、映像だけでなく「意識や感覚」までもがVRの世界に入り込めるようになっている設定です。

    つまり、このAコースのように熱や痛みを感じるのはもちろん、匂いなんかも感じることができるのです。

    こういったVRの事を「フルダイブ」という名称で呼んだりします。

    意識や感覚のすべて(フル)をヴァーチャルリアリティの世界に入り込ませる(ダイブする)といった意味合いでしょうね。

     

    これからVRの技術もどんどん進化していくと思いますが、フルダイブが実現するとしたらどうなっちゃうでしょう。

    てかてんとしては、娯楽の範囲でフルダイブを楽しめるようになればいいなと思いますが、様々な規制を取り入れてしっかり管理しなければ大変なことになりそうです。

     

    楽しむことにだけ利用するような仕組みを取れればいいのですが、一歩間違えると犯罪にも使えてしまいそうなので、難しいところですよね。

     

    とは言いつつも、フルダイブで瞬時に海外旅行が楽しめたり、フルダイブで最高級の食事を堪能したり、はたまたこの現実にはないファンタジー世界を冒険したりと、夢は広がるばかりです(笑)

     

    良い意味で、VRの技術の進化には、これから注目したいところです。

     

     

     

    終わりに

     

     

    山田悠介さんの書き下ろし文庫小説「Aコース」。

     

    てかてん好みのゲームを題材にしたホラー作品で、いいなぁこんなゲームやってみたい!と思わされました。

    小説としてもかなり面白かったので、Bコース、Cコースとすべてをシリーズ物として書いて欲しいとまで思いました(笑)

     

    以前書評した「魔界の塔」も、ゲームを題材にした作品で、面白かったです。

    以下にリンクを載せておきますので、よろしければお読みください。

     

     

     

    tekaten.hatenablog.jp

     

     

     

     

     

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