「パラシュート」
山田 悠介 著
ホラー小説といえば、やっぱり「山田悠介さん」というイメージがあります。
他にもホラー小説家で活躍している作家さんはたくさんいらっしゃいますが、山田悠介さんは「作品数、実写映画化された数」はかなりの物です。
学校の図書館なんかにもたくさん作品があった記憶があります。
ということで、多くの方に馴染みのある作家さんなのではないでしょうか。
そんな山田悠介さんの作品を、ちょっと時間はかかるかもしれませんが「全作品読んで、全作品書評する」勢いで、コンスタントに記事を書いていきたいと思います。
今回のトピックはこちら!
「パラシュート」のあらすじ
主人公の賢一と、親友の光太郎、そして光太郎の彼女のユリ。
3人は仲が良く、いつも一緒に遊んでいた。
今日も、いつもと変わらず3人で遊んでいた「はず」だった。
出先の海で、ちょっとユリがコンビニに買い物に行った間で、賢一と光太郎が行方不明になってしまった。
しかも、ただの行方不明ではなく「拉致」されたのだ。
日本と抗争中のA国が、抗争終結を狙うため日本人を拉致し、交換条件として抗争をやめせようとしたのだ。
しかし、日本政府はテロの脅しに屈せず、賢一と光太郎を見捨てる判断をしてしまった。
テロリストは、日本政府が交渉に応じないとわかったことで、移動中のヘリから賢一達を投げ捨てることにした。
賢一にはパラシュートがなく、光太郎の体にのみパラシュートがついている。
残念ながら光太郎は殺されてしまっており、遺体にパラシュートがつけられている状態。
果たして、放り出された空中にて、賢一は光太郎の体を受け止めてパラシュートを開くことができるのか。
そして、もしパラシュートが開けたとしても、その後はどうなるのか?
ホラーというよりサバイバルを描いた作品
山田悠介さんの作品だと、はっきりホラーだとわかる作品が多く目立つところですが、
「パラシュート」はホラーというよりサバイバル小説のような作品でした。
テロリストに拉致されたという設定の中で、どうホラーにつなげるの?と疑問を持ちながら読んでいましたが、どうやらてかてんの先入観だったようです(笑)
パラシュートで放り出されるというとんでもない状態において、サバイバル力のようなものが試されている賢一。
ヘリコプターから落とされてすぐに、
「思ったよりも冷静に考えている」といった意味の言葉が書かれていました。
命を天秤にかけられたとき、慌てる余裕なんかなくて、脳をフル回転させて自分を守る方法を考えるべく冷静になる。
そんな最高潮まで脳が冴え渡る瞬間があるのかもしれませんね。
人間は窮地に追い込まれると、とんでもない力が発揮される?!
人間、火事場の馬鹿力という言葉があるように、いざって時にはものすごい力が発揮されるものなのかもしれません。
スカイダイビング経験がないであろう賢一も、親友の体を助けたい、自分が生き延びたい一心で、ダイブ中の体勢を考えたりなんとかしてパラシュートを開く方法を考えたりできています。
命がかかっている状態で、かつタイムリミットもすぐそこまで迫っているというとんでもない窮地に立たされたことで、賢一の潜在力が本領発揮したシーンですね。
なかなか私生活ではそこまで追い込まれることがないのでわかりませんが、私達にも秘めた力があるのかもしれませんね。
話は変わりますが、私生活でも適度に自分を追い込んだ方が良い?!
ちょっと話は変わってしまいますが、賢一のように自分が追い込まれた立場になると、普段の生活では得られないほどの成長が期待できます。
これは置き換えると、私生活でも適度に自分を追い込んでいけば、まだまだ成長の可能性があるということになるとも言えます。
よく仕事の現場で、
「若い頃は苦労を買ってでもしなさい」
と言いますが、これはまさに追い込めるチャンスは喜んで追い込まれなさい、そこに成長がありますよ、という教えなのでしょう。
仕事で一週間後までにこの結果を出せ!と言われれば、なんとか調整して達成しようと頭を働かせたり、体を動かしたりできます。
でも、そのうち結果がでればいいよと言われれば、最悪の場合結果を出さずに終わるかもしれません。
どんな活動にせよ、自分を追い込む目標や基準を設定し、そこに向かって努力したり悩んだりすることが、自分を1ステップ成長させるきっかけになるのかもしれません。
終わりに
「パラシュート」のサバイバルに学ぶ私生活のあり方!みたいな書き口になってしまいました(笑)
でも大切なことですし、小説からでも何を学び取るのかによって、てかてん自身の成長の仕方も変わってくると思います。
ストーリーとしては、追い込まれた賢一がどうやって悲惨な現状を打開するのか?
命をかけた展開で、一気に読み切れる内容でした。
ページ数もそれほど多くないので、気軽に手にとって読んでいただける一冊です。
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