「読書で自分を高める」
本田 健 著 読了。
お金や、自分らしく生きる「ライフワーク」をテーマにした本を多数出版されている本田健さん。
著書の中では初となる「本に関する本」を出版されているということで、今回読んでみました。
たくさんの本を書かれている本田さんは、学生の頃、食費を犠牲にしてでも本を読んでいたと語るほどの読書家です。
大学生の頃は部屋が本棚だらけになっていて、本のことならあいつに聞けば大丈夫と言われていたそうです。
そんな本田さんが、大量の本を読む読書家という目線と、たくさんの本を出版している作家という目線から、本についてどう考えているのか読み取れる一冊です。
今回は、「読書で自分を高める」の中で響いた文章4つを挙げ、それらに対する私の意見を付け加える形でまとめていきます。
「あなたが読んできたものは、確実に身になっているのです。
だからいま自分にとって必要かどうかを考えすぎずに、自分とは違う生き方をしている人の人生を吸収してもらいたいものです。」
(読書で自分を高める p.58より)
本を購入する際、この本は自分に合っているのか?何か学びがあるのか?という考えで選ぶことはよくあると思います。
もちろん、今すぐ仕事に使いたい!とか、就活に活かしたい!とか、料理ができるようになりたい!といった、速効性が得られるものならその通りです。
しかし、本の学びはそれだけではありません。
いつどこで使えるかわからない知識も、たくさん集めれば広い視野を持てるし、知識同士が噛み合って新しいアイディアが浮かぶこともあります。ひょっとすると、10年後に効果を感じるものもあるかもしれません。
本で得た知識が確実に自分のものになると信じて、今すぐ効果があるものにばかり目を向けず、ずっと先を見て感覚的に好きな本を読むのも素敵かもしれません。
「本が嫌いになった人は、これまでの人生で、すごくおもしろい本に出会わなかったことと、読書を誰かに強制されたからだと思います。」
(読書で自分を高める p96より)
これは、私も常々思っていることです。
読書を好きになったきっかけを思い出してもらうと分かると思いますが、きっと自発的に読んだ本の中で「本当に面白いと思える本」に出会ったかどうかだと思います。
中には、自発的ではなくて読まされた本の中に出会いがあった可能性もないことはないでしょう。
間違いなく言えるのは、読書を好きになるきっかけは「本当に面白いと思える本」に出会ったかどうかなのです。
これを反対に考えてみると、読書が嫌い(苦手)な人は、本当に面白いと思える本に出会っていないか、読書を誰かに強制させられて嫌な思い出が残っているかのいずれかだということになるのですね。
特に私が思うのは、幼少期に「読書感想文」という形で宿題として読書を課され、無理やり本を読まされたと感じている人は多いはず。そのせいで、読書は嫌なものという意識を子どもながらに植え付けられているのではないでしょうか。
最近では、朝の10分間読書という取組みを行っている学校もあり、朝学校にきてから無理やり本を読まされているのです。
これでは、読書を嫌いになる人が多くなって当然です。
本来ならば、読書の面白さや素晴らしさを学校などで伝えて、子供達が率先して本を読むような教育を行うべきだと強く思っています。
「読書感想文によって読書家が少なくなっている可能性がある」の記事にも、本を嫌いになる理由についてまとめていますので、よろしければご一読ください。
「自分の感じていること、考えていることを文章に書いて、読んでもらうのは実に快感です。
一度その味を知ってしまうと、後には戻れないほどです。」
(読書で自分を高める p128より)
これは作家としての貴重な意見ですね。
数百万部というベストセラー作家だからこそ、感じることができている人に文章を読んでもらえる感覚なのだと思います。
私も、ブログでコメントをいただいたり、そこから本を読んでもらえると本当に嬉しいです。自分から本の素晴らしさを少しでも提供できて、他の人が本を楽しんでいただけることに喜びを感じます。
本田さんの感覚は、こんなものではないと思いますが、私もその境地まで達してみたいものです。
本を書いたり文章を書いたりすると、本を読むときに「こういう表現があるんだな」とか「これはこういう気持ちで書いてるな」とわかる瞬間があります。
ただ文章を読むだけでなく、書くことによって新しい読書の楽しみ方が見えてくるかもしれません。
「そこで、あえて一言で読書の効果は何かと言われたら、私は「複数の人生を擬似的に生きられる」ということを挙げるでしょう。」
(読書で自分を高める p196より)
これは様々な本でも言われていることですが、読書の良いところを一つあげろと言われれば、この言葉に尽きると思います。
読書は、著者や登場人物の人生を疑似体験する手段の一つです。
著者が生きてきた人生、登場人物の悩みや悲しみ、喜びなどを自分の感覚のように読み取って味わうことができます。
■ 終わりに
読書に関する本は数多く出版されています。面白いことに、作家さんによって読書がどういうものなのかという価値観が異なり、本の内容も全然違ってきているということです。
読書は学びだという人もいれば、読書は娯楽だという人もいる。
読書に関する本を読む度に、自分とは違った読書に対する考え方が見えて、面白く感じます。
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