【年間120冊読書プロジェクト 3冊目】
本屋さんで本当にあった心温まる物語
川上 徹也 著作。
書店員さん、編集者さん、作家さんなど、本に関わる方が実際に体験した心温まる29のエピソードが詰まった一冊。
その中で、3つのエピソードについて、所感を含めてお伝えします。
⚫︎お客様が小学生の頃から、結婚してお子さんを育てるまでをずっと見守った書店員さんの話。
書店員さんが、小さい女の子のお客様の人生を見届けたエピソード。
ずっと同じ書店に勤めている書店員さんの目線で、小さな女の子が本を探して購入したところから始まります。
少女は頻繁に書店に訪れるようになり、興味のある本を探しては、買っていってくれます。
常連となった女の子と話す内に仲良くなり、時が経てば受験の参考書を買う少女に。
また時が経てば資格取得のための参考書、ブライダル雑誌、育児雑誌と、購入される本や雑誌を見ている中で、少女が大人になっていくステージを見守った書店員さん。
考えてみると、書店は何かを学び、成長するための場所だと思いますが、書店員さんは、より良いもので学びを深める環境を提供すると共に、それを見守る仕事でもあると感じました。
いつもは書店に通うお客さんの目線でしかなかった私ですが、書店員さんの目線からはこんな風に見方が変わるものなのですね。
本を好きになって初めて、書店で働いてみたいと思うようになりましたが、それは学生の頃に気がついていれば良かったと、少し後悔しています。
自分で読んで、素敵だと感じた本を、お客様にご紹介して提供できる仕事はやりがいがありそうですね。
⚫︎東日本大震災の影響で閉店になりかけた書店を救った、他県の書店の話。
今でも記憶に新しい「東日本大震災」ですが、当時も書店は人々に希望を与える素敵な場所だったそうです。
余震に怯える子供達をなだめ、一時の楽しみを与える書店の漫画。
その他も小説やエッセイなど、心を温める作品を皆さんが求めたそうです。
運送業が完全にマヒしている中、震災前に並べられていた本や雑誌だけが、書店に残った状態になりました。
ですから、週刊少年ジャンプなどは、新しい物を求めて探されるお客様もいたそうです。
お客様の要望に応えるべく、新しいジャンプを調達してきて、販売ではなく回し読みとして書店に立ち読みコーナーを設けた書店もありました。
しかし、大量に在庫を残す書店は、経営を続けることが難しく、閉店を余儀なくされた書店も少なくなかったと聞きます。
地震によって書棚が倒壊し、売り物にならない本も沢山あったと思います。
そんなとき、県外の書店が協力し、被災地の書店から本を買い上げて、代わりに販売する、といった活動があったのです。
普段から仲良くされていた書店さんが始めた活動が、次々と他の書店にも広がって、在庫販売のためのキャンペーンなんかも開催されたそうです。
実際にその活動のおかげで、経営を続けられた被災地の書店もあったというエピソードです。
どんな状況になっても、人と人の助け合いにとても大きな力を感じる素敵なエピソードでした。
⚫︎書店の無い町に、書店を作ろう!と立ち上がった主婦の話。
読書は「孤独な学習」というイメージがありますが、周りを探してみると読書が趣味だという人は意外とたくさんいるものです。
私もネット上や私生活の中で、「読書をしている」と周りに発信しはじめてから、読書好きがたくさんいることを始めて知ることになりました。
このエピソードでも、本が好きでたまらない主婦の方達が、書店の無い町に、書店を作ろう!と動き出し、実際に書店が出来上がるまでの戦いが語られています。
自分の住んでいる町に書店が無かったとしても、はたして私はそこまで動けるだろうか?と考えさせられました。
本を読むことが好きなので、書店も勿論大好きです。
近所にいくつかある書店には、どの店舗も週に1度は訪れますし、古本屋さんもたまに覗きます。
Amazonなどでまとめ買いすることもありますが、やっぱり書店が無かったら、かなり困るな、とは思います。
だからといって、書店が無ければ隣町までいくだろうし、Amazonから買えばいいじゃないかと思ってしまいそうです。
このエピソードを読んで、自分もなんらかの形で書店や、読書というものを誰かに普及させられるような活動をしたいと感じました。
このブログに読書履歴や読書に関する記事を書いているのも、その一部だとも言えます。
この様な、素敵なエピソードがたくさん詰まっています。
すでに読書習慣がある人は、改めて本というものの素晴らしさを実感できます。
本の力は、こんなに多くの人の心を動かすのか、と驚きました。
読書習慣が無い人でも、読書の魅力を感じられる一冊だと思います。
それでは、第3冊目、読了です。
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