「万能鑑定士Qの事件簿」
松岡 圭祐 著 読了。
前からずーっと気になっていた万能鑑定士Qシリーズ。
一度シリーズものに手を出すと、全部読みきりたくなるタイプなので、なかなか手を出せずにいました。
なぜかというと、このシリーズ全部で30冊近く出版されているんです!
長編シリーズは好きなんですけど、ちょっとボリューム感に尻込みしていた感じです(笑)
万能鑑定士Qシリーズは、
「万能鑑定士Qの事件簿」 全12冊
「万能鑑定士Qの推理劇」 全4冊
「万能鑑定士Qの短編集」 全2冊
その他 5冊
スピンオフで、
「特等添乗員αの難事件」 全5冊
以上、28冊もあるんですよね。
これは一度手を出すとかなり長期間抜け出せない・・・
これから読もうと思っている方も、覚悟が必要かもしれませんが、かなりオススメなシリーズです。
・・・本当は、1冊ずつ全部書評していきたいところですが、シリーズ通して冊数が多いため、タイトルでまとめて書評することにします。
ネタバレ無しで、万能鑑定士Qの魅力が伝えられるように、書評していきます。
今回のトピックはこちら!
「万能鑑定士Qシリーズ」の簡単な紹介
万能鑑定士Qシリーズは、フリーの鑑定家として「万能鑑定士Q」というお店を経営する凛田莉子と、週刊角川で記者として活躍する小笠原悠斗が様々な難事件に立ち向かっていくストーリーです。
莉子は、膨大な知識量と観察眼によって、どんな問題でも解決してしまうようなまさしく万能鑑定士。
ストーリーの中で繰り広げられる鑑定シーンでは、
「へぇー!そんなことがあるんだ!」
とか
「なるほどねー!」
と、つい声に出してしまうような知識が詰め込まれています。
読むだけでもいろんな知恵が身につくし、物を見る視点が変わりそうな感じですね。
小笠原は、莉子とある事件をきっかけに出会ってから、専属の記者のような役回りであちこち問題解決につとめます。
週刊記者ならではの力や人脈を駆使して、莉子が知識だけで入り込めない領域を切り開いていく感じ。
長いシリーズになっても、出てくる知識やトリックなどの質が落ちることなく、毎回驚かされるところが非常に魅力的。
作数が増えていくと、どうしてもストーリーがグダグダになってしまいがちですが、万能鑑定士Qシリーズはどこから読んでも面白いです。
そして、ミステリー小説のジャンルでは珍しいのですが、
「事件があって、その解決を進めていくのに誰一人として人が死なない」
という内容にこだわっているようです。
ミステリーや掲示物は、どうしても死人が出るのが当たり前っていう印象だったので、ここにも驚かされました。
キャラクターがとても魅力的な作品
これは、てかてん個人的な意見も十分に含まれてしまいますが、万能鑑定士Qシリーズはキャラクターがとっても魅力的です。
シリーズものは、設定とキャラクターの2本柱で長くファンを掴むことが部数に大きく影響すると思われますが、まさにこの2本柱がしっかりしている印象。
特に魅力的なキャラクターは、ヒロインの莉子さんですね。
驚くほどの聡明さには頭がさがる思いですが、20代そこそこの少女である一面も垣間見えて、読者はきっとお気に入りのキャラクターでしょう。
莉子は、大量の本を読み込んで今の知識を手に入れたということなので、てかてんもさらに読書量を増やして知恵をつけていきたいなーとやる気をもらったりもしました。
お気に入りのキャラクターが常に登場するとなると、次の作品を読み始めても最初からトップスピードで読書にのめりこめる点もいいですね。
初見の本は、設定とかキャラクター像を理解したり、作者の文体に慣れるまでに100ページほどかかるイメージがあります。
そこまで読めると、あとはスピードに乗って読めるのですが、なかなか進まない本もあるんですよね。
シリーズもの、キャラクターが好き、設定が好きであれば、その点が気にならないので重宝します。
へえーそうなんだー!を連発してしまう。読むだけで知恵になる小説
どんな知恵が炸裂したかについては、ネタバレになっちゃうので割愛しますが、とにかくうんちくとか実践的な知識がふんだんに詰め込まれてます。
作者は一体どうやってこんな知識を身につけているんだろう?と心の底から疑問です。
ひとつの専門に特化して、いろんな情報が盛り込まれた作品はたくさんありますよね。
珈琲店が舞台なら、珈琲に関する知識とか自営業ならではの知識とか。
刑事ものなら、事件に関する知識とか、トリックなどなど。
でも万能鑑定士Qシリーズは、文字通り「万能鑑定」ですから、宝石とか絵画とか美術的なものから、素材、トリック、本に関することなど、ジャンルの広さは底知れず。
なので、何冊読んでも全然飽きないし、むしろ次はどんなジャンルなのかな?!と楽しみになるほどです。
人が死なないミステリー
冒頭でもお話ししましたが、ミステリーであっても「万能鑑定士Qシリーズ」では死人が出ないんです。
これ、ミステリーを書く上では武器を一つ取り上げられたような状態だと思うんです。
死人が出るから面白く設定できる、というわけではありませんが、死人が物語の設定の幅を広くしてくれる事は間違いありません。
刑事物だと、死人が出ないストーリーは致命的ですしね。
人が死ぬことで、唯一の目撃者がストーリーからいなくなるわけですから、最後の最後まで様々な伏線を張っていくことができます。
また、重要な登場人物が命を落とすシーンがあると、ストーリーが引き立ちますし、涙を誘うこともできます。
このような設定を前提として破棄するというのは、諸刃の剣だなーなんて思っている今日この頃。
それでもなお、作者の知識量やアイディアが素晴らしいので、物語に飽きがなく楽しめるのだと思いますね。
終わりに
本当は1冊ずつ書評を書きたいところですが、どうしてもネタバレ要素が多くなってしまうので総括での書評でした。
とてもお気に入りの作品なので、書きたいことは山ほどあるんですが、ストーリーについては語らずに「ちょっと読んでみたいな」と思っていただける内容になっていれば幸いです。
読み応えもライトで、1冊のボリュームも少ないので、ぜひ1巻を手にとってみてほしいと思います。
久々の書評で、うまく書けたか疑問ですが。。。
本日も、てかてんの書斎にお越しいただき、ありがとうございました。
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