「ピンクとグレー」を読んで、芸能界の陰と陽を覗いたような気がする

 
 
 ピンクとグレー
 
「ピンクとグレー」
 
 
加藤シゲアキ 著 読了。
 
 
  ジャニーズに所属してる加藤シゲアキさんが、芸能活動と平行して力を入れている作家業の中、映画化までされた人気の一冊。
 
 現在では、このピンクとグレーの他にも執筆を続けており、渋谷を舞台にした「渋谷サーガシリーズ」として、3冊の本を出版している。
 
 
 
 

ジャニーズから新たな価値の創造を目指している加藤シゲアキさん

 
 
 
  ジャニーズといえば、歌って踊るエンターテイメントを提供するアイドルです。
 
  ダンスのキレ、歌唱力、人を惹きつける魅力が必要不可欠な職業です。
 
  近年では、アイドルがたくさん増えてきていることもあり、自分たちの色を出そうとしているアイドルも見えてきています。
 
  過激な歌とダンスを売りにしてるももいろクローバーZや、ブレイクダンスを出してきているABCZ、大人数で様々な好みに合わせこむAKB48グループなどが良い例でしょう。
 
 アイドルがこれまでにないほど多い時代。
 
 そんな時代だからこそ、「そのアイドルを形作る特徴」が必要になってくるのです。
 
 
 著者の加藤シゲアキさんは、ジャニーズ初の小説家が属してるグループとして、NEWSをまた一歩前進させるきっかけを作ったのかもしれません。
 
 ジャニーズはただ歌って踊るアイドルグループではなく、他にも才能をもってる。
 
 そんなメッセージが聴こえてくるような、作家活動だと感じています。
 
 
 
 
 

物語の導入部分は・・・

 
 
 
 大貴と真吾は子供の頃からの友人で、高校生の頃に読者モデルとしてふたり揃って活動をはじめる。
 
 やがて芸能事務所にも所属することになり、ふたりでルームシェアをスタート。
 
 エキストラでドラマに参加する中、真吾だけが才能を認められ、芸能界でどんどん人気をつけていく。
 
 芸能界という世界の中で、華やかなピンクと下積みをイメージするグレーのふたつにわけられてしまった2人の青年を描いた物語である。
 
 
 物語は、後半に差し掛かったところで驚きの展開を見せる。
 
 ほとんどの読者が「え?」と驚くこと間違いなしだと思います。
 
 
 
・・・ 物語後半部分は、これからピンクとグレーを読む人のために、あえて伏せておくこととします。
 
 
 
 
 
 

芸能界の「陰と陽」を表したピンクとグレー

 
 
 芸能界といえば、私たちはテレビ越しに見る、華やかな部分「陽」がイメージされやすいと思います。
 
 
  私たちに夢や希望を与えるきっかけにもなりますから、表向きは非常に華やかな世界に思えます。
 
  しかし実際には、厳しい上下関係や売れない下積み時代、バッシング、ひどいところでは犯罪や薬物など、芸能界には「陰」の部分もたくさんあるのです。
 
 
 ピンクとグレーでは、売れてしまった親友に対しての「妬み」や諦めてしまった自分への「怒り」などが「陰」として表現されています。
 
 また、売れた親友も、売れなかった友人に対しての「申し訳なさ」や売れているからこそ失われていく「自由や尊厳」のようなものに悩んでいる描写があります。
 
 
 売れている、売れていないが「陰と陽」なのだと思って読んでいましたが、売れていても、「陰」の部分がたくさん描かれているということですね。
 
 
 これは、どんな人生にも必ず「陰と陽」があるというメッセージにも思えます。
 
 
 他人から見たら「華やかだ」と思える人生も、当人にとっては「華やかなことばかりではない」ということはよくあります。
 
 活躍している人には、活躍している人にしかわからない「感動や興奮」があるとともに、活躍しているからこそ「平凡」を味わえなかったりするわけです。
 
 どんな人生でも、捉え方によっては「陽」、捉え方によっては「陰」にもなる。
 
 
 自分が悩んだ時には、少しでも「陽」の部分を見ていけるような人生にしたいものですね。
 
 
 
 

終わりに

 
 私の勝手なイメージだったのですが、
 
 
「ジャニーズの人が書いた小説なんて、面白いのだろうか・・・」
 
 
と感じていました。
 
 
 元々私は、「芸能人が歌手デビュー」とか「歌手が俳優活動」という、一つの分野から違う分野へ、簡単に活動を広げるようなことが嫌いです。
 
 もちろん、能力が認められて、芸能人が歌手デビューは素晴らしいことです。
 
 しかし、「可愛いから」「かっこいいから」というアイドル的な要素で、芸能人がCDを出すことは、ずっと歌で勝負したくて頑張ってきている人たちに失礼だと思うのです。
 
 
 と、こんな理由で、加藤シゲアキさんの小説には中々手を出さなかった私です。
 
 
 今では反省しています。
 
 小説としての文学表現も素晴らしいですし、何より芸能活動をしているからこそ書くことのできる作品に仕上がっている。
 
 本当に、小説家として素晴らしい方なのだと思いました。
 
 
 私の中にある勝手な「偏見意識」を捨てて、これからは様々な人の活動を認めて見てみようと思うきっかけにもなりました。
 
 
 
 

ピンクとグレー
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