毎年4月から夏場にかけて、就職活動が盛んになります。
現在就職活動に取り組んでいる大学生は、数社~数十社の企業に自分を売り込んで、活動を頑張っているところです。
すでに内定をいくつかもらった人もいれば、まだもらえていない人もいるでしょう。
企業に内定をもらえるのかどうかについては、個人の能力や経歴、それらを伝える表現力も重要になってきますが、こればかりは採用担当の目利き力と相性なんかも関わってきますので、攻略術はありません。
むしろ、「運」が強い部分だってあると思っています。
それでも、「出来るだけわかりやすく伝える能力」や「採用担当が聞きたい話を事前に用意しておくこと」などは、内定をもらう確率を上げる要素になっているのは間違いありません。
ということで、就職活動の際に気を付けておきたい「3つの言葉遣い」を今回のトピックとして、考察していきたいと思います。
言葉遣いというのは、それひとつで印象を決めてしまうものでもありますので、気を付けて意識したい部分です。
■ 「抽象的な表現」、「自信の無い表現」は、言いたいことが伝わらない
抽象的な表現や自信の無い表現は、言いたいことをうまく伝えることができにくくなります。
しかし、現在では、多くの人が抽象的な表現や自信の無い表現を使ってしまっているのも現状です。
そこでまずは、「就職活動の際に気を付けておきたい『3つの言葉遣い』」を見ていきましょう。
●気を付けておきたい「3つの言葉遣い」●
・ 〜だと思います
・ 〜みたいな
・ 多分〜、おそらく〜
上記の3つの言葉遣いは、タイプ的には同じようなものが並んでいますよね。
3つに共通しているのは、「抽象的」で「自信の無さを印象付ける」言葉であるという部分です。
「~だと思います」は、本当に思っている部分については使っても間違いではありません。
しかし、自分自身の体験を話す場面で使ってしまうと、「自信が無い」と受け取られがち。
例えば、
○ 先生が言いたかったことは、○○なんだと思います。
(先生の気持ちを汲み取って、想像しているから「~だと思います」で正解)
× 私が京都へ旅行に行ったのは、お寺が好きだからだと思います。
(自分の気持ちなのだから、「お寺が好きだからです」のほうが正しい)
こんな風に使ってしまっていませんか?
就職活動の面接では、企業に関する情報なんかよりも、受験者である「あなた」がどんな人なのかを知りたいものです。
面接官はその企業のプロなのですから、会社の話をしたって敵うはずありませんし、そもそも1日に何十人も面接する中で繰り返し聞きたい話とは思えません。
受験者のプライベートな部分をきいて、「こいつ面白そうだな」と思ってもらう事が大切です。
せっかく「あなたの趣味は?」とか「一番楽しかった経験は?」なんて質問をしてもらう機会があるのに、「~だと思います」という抽象的で自信の無い返事が返ってくると面白くありませんよね。
「私は協調性があって、リーダーシップを発揮できると思います」と聞いても、「本当に大丈夫か?」と思ってしまいます。
それならはっきりと、「リーダーシップを発揮して、周囲をまとめながら仕事を進めます!」と言い切った方が伝わります。
「~みたいな」も同様に、使い方が正しい場合ならともかく、意味も分からず連発していることもあって危険です。
例を見ていきましょう。
○ りんごみたいな甘さ。
(~みたいな、は言葉と言葉の間に使って「同じような」を表すので正解)
× 疲れた時は本を読んで、リラックスするみたいな
(最近よく耳にする語尾に使われる「~みたいな」誤用)
この例は、多くの人が納得できる内容だと思います。
テレビやニュースで取材を受けている人を見ていても、
「今友達と待ち合わせみたいな感じで待ってます。もう10分も過ぎているから遅いなーみたいな。直接言いにくいからLINEでスタンプ連発してアピールするみたいな感じですねー」
なんて言っている姿を目撃します。
ちょっと大げさに書きましたが、この会話一文だけでも3回「みたいな」を使っています。
しかも、どの「みたいな」も正しく使われておらず、「みたいな」が無くても文として成立することがわかります。
それでも、言葉のつなぎや文末に、ついつい「みたいな」を入れてしまう人が多い様です。
「今友達と待ち合わせしています。もう10分も過ぎているから、遅いなーと思って待ってるんですけど。直接言いにくいから、LINEでスタンプ連発してアピールしちゃってます。」
と「みたいな」抜きで書き直しても、十分意味が通ります。
むしろ、わかりやすくなりますよね。
自分が使っている話し言葉は、無意識のうちに飛び出してくるものが多く、話している本人も自覚していないことが多いです。
実はかなりの数の「みたいな」を使っている人でさえ、周りの人に言われなければわからないことは、よくあるものです。
これを機会に、自分がどんな話し方をしているのか、見直してみる必要がありそうですね。
最後に、「多分~、おそらく~」という表現。
「多分」や「おそらく」は、その言葉事態が「あいまいさ」や「抽象的」であることを意味しています。
最初にお話した「~だと思います」と同じように、本来は言い切るべき場面で誤用してしまっているケースが目立ちます。
○ 明日は降水確率90%ですので、おそらく雨が降りますね。
(降水確率90%だと確実ではないが、雨だと推測できる範囲なので「おそらく」で良い)
× 御社までの交通時間はおそらく1時間弱です。
( 実際に1時間弱かけてきたのなら、交通時間は1時間弱でしたが正解)
少し自信がない時に、「多分、おそらく」という言葉を使ってしまいがちです。
相手が目上の人だったり、気が強くて発言力がある人だったり、面接官相手でも同じです。
そんな相手と話す時こそ、「多分、おそらく」で濁してしまわずに、しっかり言い切って伝えることが重要になってきます。
面接官に、
「出張が多くなる場合がありますが、大丈夫ですか?」
と聞かれた時、
「多分、大丈夫だと思います」
と中途半端に濁すよりは、
「はい、問題ありません」
と言い切って答えてくれたほうが気持ちが良いものですよね。
■ 自信の無さは、責任逃れをしているだけ
ここまでご紹介してきた3つの言葉は、共通して「自信の無さ」が表れています。
中には無意識で使ってしまうケースもあるようですが、気が付いていなければ対策もできません。
言葉は伝える為のもので、うまく自分の意思が伝わらなければ意味がありませんよね。
自信の無い表現を多用していると、「責任逃れ」をしているようにも感じられます。
「多分、大丈夫だと思います」
という自信の無い表現は、大丈夫じゃなかったときの予防線みたいに思えるのです。
すべてに自信を持ったほうがいいというわけではありません。
しかし、就職活動の様に「自分を表現して売り込む場面」では、自分の良さや雇ったときの会社の利益を短時間で伝えることが求められます。
その短時間で使う言葉も、限られるということです。
できる限り自分を良く知ってもらうために、「曖昧で抽象的な表現」は避けて、これまでの経験や自分の得意なこと、利点なんかを自信あるふるまいでお話する。
普段使っている言葉を見直して、相手に伝わりやすく自信あるふるまいができる説明力を身に着けることで、就職活動をより有意義にしていくことができるのですね。
企業研究や自己分析も大切ですが、より伝わるようにするにはどうしたらいいのか?というところにも、目を向けていきましょう。
コメント