この時期話題にあがる「新入社員の退職」について考えたみた

 

 

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4月1日から新年度がスタートし、新しい出会いや大切な人との別れが訪れたことと思います。別れがあれば出会いがあり、新しい環境で仕事や学びをスタートする人も大勢いらっしゃいます。
 
そんな中、本年度も始まってまだわずかですが、毎年この時期になると「ある話題」がインターネット上で騒がれています。
 
それは、「入社したての新入社員が早期退職をした」といった話題です。
 
「え?まだ1週間くらいしか経ってない」と感じて驚きますが、実際に私が新入社員だった頃も、4月のうちに数名の同期社員が退職しています。
 
職種やこれまでの学歴なども関わってきていると思われますが、入社して1週間で会社を退職するのは、あまりにも早すぎると思わざるを得ません。
 
自分が思い描いていた社会人ライフとは大きく異なり、時間の拘束や仕事の辛さが原因になっているのかもしれませんが、そもそも1週間では仕事の辛さなどわかるはずもありません。
 
それでも、毎年この時期にインターネット上で話題にあがるからには、新入社員が会社をやめていく「理由」が必ず存在しているのだと私は考えています。
 
そこで今回のエントリでは、「新入社員がなぜこんなにも早くに退職という選択をするのか」について、それから「会社をやめてからどうするのか」などについても考えていきたいと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 

大卒新入社員の離職率からみる、忍耐力の欠如

 
 
 
 
厚生労働省のホームページにアップされている、「大卒新入社員の離職率」に関するデータによると、
 
 
平成15年から平成24年までの10年間の調査で、新入社員1年目の離職率は13~16%である、とされています。
 
 
 
(情報元 : 厚生労働省ホームページ )
 
 
平成15年から平成24年の大卒新入社員の数見ても、34万人から44万人と非常に多く、その中の13~16%が1年目に離職しているとなると、
 
 
44200人~70400人もの大卒新入社員が1年目で会社をやめるという選択をしていることになるのです。
 
 
数値で表してみると、驚きますよね。
 
繰り返しますが、数万人の大卒新入社員が、1年間という短い期間の中で会社をやめているのです。
 
周囲に退職した大卒新入社員が何人かいましたが、全国規模で見るとこんなに多いのかと、言葉になりません。
 
 
大卒の新入社員といえば、大学3年生の頃から企業調査や自己の見つめ直しを繰り返し行い、4年生になると多い人で数十社もの会社で面接を受けるなど、就職活動では困難を極めたことが予想されます。
 
就職浪人という言葉があるように、就職活動でも内定を勝ち取れず、大学に残ってもう一度就職活動をやり直す学生もいるほどに、大卒の就活事情は難しいものになっています。
 
1枚のエントリーシートを書くのにも大変な労力なのですが、それを何枚も、場合によっては何十枚も書いて、在来線や新幹線、飛行機まで駆使して全国の会社で面接を受ける。
 
もちろん、大学の勉強や卒業に向けての研究、卒業論文もあります。
 
そんな忙しすぎる時間をなんとか潜り抜け、内定を勝ち取ったのにも関わらず、なぜ1年目で早期退職を選んでしまうのか。
 
 
 
 
前述した44200人~70400人の中には、
 
 
 
・ 結婚したことによる退社
 
・ 家庭の事情における退社
 
・ 自身の傷病等による退社
 
・ その他、一身上の都合による退社
 
 
といった退社の理由も含まれますから、すべてが「会社にいるのが耐えられない」「会社は理想とかけはなれていた」といった理由で退職しているわけではありません。
 
 
しかし、早期に退職している大卒新入社員の多くは、会社という新しい環境の中で、大学生活で満喫していた自由が失われ、会社のために時間を拘束されてしまうことが耐えられない。
 
さらには、大学で専門的な研究や学問に打ち込んできた人では、会社で自分の知識を活かした専門的な仕事をしたいと考えて入社します。それでも、配属先は自分の研究してきた分野がまったく活かせない職場だったり、学歴が必要ないような単純作業だったりします。
 
自分の理想と大きくかけはなれていること、自分のこれまでのキャリアが活かせないこと、会社で時間の拘束を受けること。
 
こうした要素が、大卒新入社員の退職の理由として挙げられると思います。
 
 
その結果、「やりたいことが他にあるので辞めます」とか「やりたい仕事ができないので辞めます」と、早期に理由を固めて辞表を提出することとなっているのではないでしょうか。
 
本当にやりたいことをやるためなら、会社を早い段階で去り、理想的な職場・自分の力が活かせる職場を探すことも一つの選択肢だと思いますが、やりたいことを見つけたからといって「本当に今すぐに会社をやめる」という選択が正しいとは思えません。
 
 
やはりここには、大卒新入社員の一部に「忍耐力の欠如」を感じてしまいます。
 
自分の思い通りにならなかったから会社を辞めるというのは、あまりに自分本位だと思います。特に、1年未満、この時期であれば1週間で辞めるということについては、「我慢」が全くできない人間なのではないかと心配するほどです。
 
何年か働いている内に、「こんな仕事がしてみたい」と好きなことに出会って、そこから好きなことの経験値やキャリアを積んで、退職を選ぶ。これとは大きな違いです。
 
 
唐突に退職して、その後どういう生活をしていくのかも、重要だと思います。私達には所得税や住民税、社会保険料や年金を支払う義務があります。退職して働かない人達は、そうした税金を親御さんに代わりに支払ってもらうことになります。
 
自分の都合で身勝手な退職をするのなら、せめて個人の責任を果たせるだけの労働は、何か違う形でもやらなければならないのではないでしょうか?
 
 
 
やりたいことがあるから、これは自分の考えと違うからという理由は、「今すぐ」に会社を退職する理由にはならないのです。
 
 
 
 
 
 
 

やりたいことを見つけたというのは、今すぐに会社をやめる理由にはならない

 
 
 
 
ここまで書いてきましたが、あくまで「1年未満の早期退職」を想定した内容だということを、ここで改めで記載させていただきます。
 
数年間働く中で、働く環境や働く意味、好きなものなどはどんどん変わっていきます。ですから、数年後にやりたいことをやるための退職を選択するのは、悪いことではないと思います。
 
 
 
さて、「何か違った」とか「他にやりたいことがみつかった」というのは、早期退職の理由にならないとお話しましたが、1年未満という非常に短い時間の中では、仕事とはどういうものなのかを知ることすら難しいというのが大きな理由です。
 
例えば、大手企業であれば、5年間勤めようともそれはその部署や部門のことがわかっただけであり、他部署や他の事業部のことは一切わからないということも良くあります。
 
大きな会社になればなるほど、製造部門、技術部門、開発部門、研究部門、販売部門、経理部門総務部門など、ありとあらゆるジャンルの部署・部門が存在します。
 
ただ、取り扱っている商品やサービスがその企業のものであるというだけです。
 
文房具を扱う有名メーカーであれば、文房具の製造部門、文房具の開発部門、文房具の販売部門という具合です。
 
つまりやりたい仕事は、社内をくまなく探していくことで、探し出すことはできるかもしれないのです。
(根本的に決められた時間で働くことや、会社勤めをするのが耐えられない場合を除きますが)
 
 
1年未満しか勤めていなければ、社内にどんな業務内容の部門があるかもわからないまま、最初に自分が配属された部門の仕事だけで決めてしまうのです。これは非常にもったいない。
 
また、1年未満の短い期間だと、良好な人間関係を作り出す時間すらありませんから、会社にいらっしゃる多くの素晴らしい人達とも知り和えないまま会社を去ることになります。
 
 
 
 
何はともあれ、短い期間では「退職する理由がはっきりすることはない」と私は思うのです。
 
 
いろいろ理由を並べて退職を選んでいるように見えても、「働くことの意味」「仕事のやりがいや楽しさ」がわからないままで辞めているのでは、どんな理由も「たてまえ」になってしまいます。
 
だからこそ、1年未満、ましてや入社して1か月未満で退職している大卒新入社員の方々には、「とりあえず1年くらい待ってみませんか?」と言いたいです。
 
「辞めるな」とは言いませんが、今辞めてしまうと収入もなくなり、家でぷー太郎をすることは目に見えています。
 
だったら、とりあえず1年間、他に見つけたやりたいことの勉強をしたり、経験を積んだり、今の会社の仕事を頑張ってみたりしながら生活したほうが、収入ゼロのニートよりもよほど建設的です。
 
もちろん、税金や保険料、年金も自分の力で支払うことができますから、個人の責任も果たすことができます。
 
 
そして1年後。それでもあなたの気持ちが変わっていなければ、退職してやりたいことをやれば良い、と思いませんか?
 
 
 
 
 
 
 

終わりに

 
 
 
退職する理由は様々あるのですが、どんな理由も個人の自由。誰にも退職を止めることは出来ません。
 
退職することが悪いとも良いとも思いませんが、さすがに入社して1週間で退職はあり得ないと思います。
 
新しい環境に入れば、辛いことが多いのは当たり前です。
 
それも自由気ままに暮らせてきた大学生が、いきなり時間や規律に厳しい社会に飛び出したなら、そのギャップで辛さが倍増するのは言うまでもないでしょう。
 
でもそれは、新入社員皆が抱える悩みでもあるのですから、あなただけが我慢しているのではありません。
 
 
そうした辛い環境からたった1週間で逃げ出すような人間になってしまっては、この先どんな仕事をすることになったとしても、絶対に続けることはできません。
 
 
周りの同僚なんかに話をしてみると、意外と辞めたいと思いながらも頑張っている人は多いものです。
 
働くことに苦痛を感じている人はたくさんいるのですから。
 
 
 
働くということについて真剣に考えて、向き合って、それからでも遅くありません。何も思い立ってからすぐに辞めてしまう必要はないのです。
 
 
 
 

 

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