本を読んでいない人の中には、そもそも本を読むことが嫌いな人、本を読もうという気持ちがあっても読まない人、生活の中で本を読むという選択肢が無い人(読む気が全くない人)など、様々です。
私は、読書を楽しむ中で、「出来る限り多くの人に、読書の楽しみをしってもらって、読書家として意見を交換してみたい」という気持ちがあって、勝手に「読書普及活動」を実施しています。
読書普及活動の中では、私というたった一人の人間が他人に与えることのできる影響はわずかであっても、
・ 私が読んだ読書の履歴を公開 (読書の楽しさを間接的に表現)
・ 読書に関するノウハウを公開(本の選び方、本を読む時間の作り方、本の内容の覚え方 などなど)
・ その人に合いそうな本を探し出してプレゼントする (読書のきっかけを提供)
ということを実践しながら、何らかの形で読書の楽しみをお伝えできればと思っています。
読書普及活動を開始してから、
「この本おもしろそう!」
「この本貸してくれませんか?」
「この本は私も読みました」
「○○という本がおすすめです!」
「おすすめ本、いくつか送っといたよ」
このような反響、コメント、本をプレゼントしたり、プレゼントされたりという「本の共有」など、当初は予想もしていなかった本の繋がりを感じられるようになりました。
日々、読書に関する情報を発信して、他の人から本に関する情報を受け取っている内に、あることに気が付きました。
それは、「本を読もう」という気持ちがあっても、それが気持ちだけで止まってしまって、実際に本を読んでいない人がたくさんいること。
こんな本に興味があるとか、こんなジャンルを勉強してみたいという気持ちがあるのに、それを実際に行動に移していない人は、訪ねて回ると意外にたくさんいたのですね。
先日、同僚との飲み会の席で、
「去年、Facebookで紹介していた(てかてんが)○○って本にすごく興味があったんですよ。ほらほら、この記事です。」
といって、私のFacebookの去年投稿したある本に関するページを見せてくれました。
もちろん、その本を読んだ私にとっては、この本からこんな学びがあったな、と思い出せるものでしたが、彼にとっては私とは違うところに興味を惹かれたようで、本の帯に書いてあった一節について語ってくれました。
同じ本からも、違った学びや感想を受けている人と意見を交換するのは、とても楽しいものです。
つまり、このエピソードから何が言いたいのかというと、彼は本を読むという行動までは起こせなくとも、本の面白さを間接的に感じてくれて、そこから少し読書の世界に興味を持ち始めてくれているということです。
読書普及活動をしてきた中で、
「こんな風に読書に興味を持ってくれるような人をみつけることができるんだ」
と実感した体験でもありました。続けてきてよかったなと思います。
このように、本を習慣的に読んでいなくても、「きっかけ」さえあれば、読書を始めるようになるのではないか、という「潜在的読書家」というのは、たくさんいるということが分かってきました。
潜在的読書家に、正しいアプローチ(きっかけを与えること)ができれば、読書家へ変わっていく手助けができるということにもなります。正しいアプローチとは、読書の面白さを無理やり伝えようとしたり、この本絶対読んだ方がいいよ!と強く本を勧めたりする方法ではなく、自発的に「本を読んでみようかな」と思わせるきっかけを与えることです。
読書を薦める上で、アプローチのことを考えた方がいい、という考察は、以下のエントリにまとめてありますので、ご参照ください。
潜在的読書家には、いくつかのパターンがあると思っています。
・ 本を読むのは嫌いじゃないけど、習慣的には読んでいない
・ 本を読んでみたい(興味はある)けど、まだ読んだことが無い
・ そもそも本を読むことが嫌い(なんとなく活字を読むことに抵抗がある、勉強をする習慣が無い)
本を読むのは嫌いじゃないけど、習慣的には読んでいないという人は、非常にゆっくりではあるけれど本を読んでいる人達です。本当に気になった本や、ベストセラーになった本、お気に入りのドラマの原作本など、興味を惹かれるきっかけがあれば、書店に立ち寄って本を買っているような感じでしょう。
この人達は、本を読むこと自体に抵抗がありませんから、ほんのちょっとの後押しで、読書家になる可能性があります。
例えば、書店に立ち寄る頻度を増やし、「書店にはこんなにたくさんの本があるんだ」ということを改めて知ってもらって、そこから興味のある本を探してもらう。これだけでも、きっと読みたい本はたくさん見つかるタイプだと思います。また、書評ブログやSNSでの読書に関する投稿など、習慣的に読書に関する情報が得られる状態がつくられると、その小さなきっかけから読書家になる可能性もあると思っています。
本を読んでみたい(興味はある)けど、まだ読んだことが無いという人は、まだ本の面白さを知っておらず、これだと思う一冊に出会っていない人です。それでも、本を読むことに興味がありますので、読書家になりやすいタイプの人です。このタイプの人達こそ、正しいきっかけがあれば、すぐに読書家になることができるのではないでしょうか。
友人にもこのタイプの人がいるのですが、「本を読んでみたいけれど、どの本を読んだらいいのかわからない」と言っていました。こういうパターンなら、自分がこれまで読んできた本の中から「この本面白いから読んでみて」と薦めてみてもいいでしょう。その際注意しておきたいのが、その人の好みそうな内容のものを探して、活字慣れしていないことも考慮して出来るだけ読みやすく内容の軽いものを選んであげるということです。選択肢としても数冊選んでおいて、本人にその中から選ばせることも「自発的読書」に繋がるので、ポイントです。
こうして本を読んでみるきっかけを与えていけば、読書家になってくれる可能性が高まります。
最後に、そもそも本を読むことが嫌い(なんとなく活字を読むことに抵抗がある、勉強をする習慣が無い)という人は、過去に読書で辛い体験やつまらない体験をしてきた人達だと思います。過去の経験から、「読書はつまらないものだ、本を読むのは嫌いだ」という意識が残ってしまっているのですが、それが今現在も読書を楽しめないという理由にはなりません。
過去に読書で経験した辛い出来事やつまらない出来事と言えば、「読書感想文を強要されたこと」や「朝の10分間読書で、本を読むことを強要されたこと」など、子どもの頃に経験した読書のイメージでしょう。
子どもの頃に経験したことは、意外と今の私たちに大きな影響を与えている物です。その子供の頃のイメージがぬぐいきれず、今でも読書が苦手だと思ってしまっているパターンはあるでしょう。
読書感想文や朝の10分間読書によって読書を嫌いになっている人がいるのではないか、ということに関しては、以下にまとめてありますので、よろしければご一読ください。
このパターンの人には、なかなか本を読むきっかけを与えることは難しいのですが、たった1冊でも読んでもらえれば、子供の頃と違って読書を楽しめる自分に気が付けるはずです。なぜ読書が嫌いなのか、その根幹の意味は本人にもつかめていないところがあるくらいだと思います。
■ 終わりに
読書普及活動を始めた当初は、どんな効果があるのかわからないながらも、読書の楽しみを広めたい、読書の楽しみを共有して意見交換したいといった気持ちから、読書に関する情報発信をするようになりました。
始めてからすぐに、知人から「この本読みたい!」「この本面白かったよね」「たくさん本読んでいるね」といった言葉をもらうようになり、案外自分の発信している情報を周りの人は見ていてくれているのだと思ったものでした。
自分から読書に関する情報を発信していると、不思議と周りからも読書に関する情報が入ってくるようになるました。
例えば、「この本おすすめなので読んでみてください」とか「この本は、この間読まれていたあの本と似た世界観ですよ」といった、私自身が欲している情報を、周りの人が届けてくれるようになってきたのです。
それは、私が「読書を楽しみに取り組んでいる」ということが周囲の人に認知され始めたことで、「てかてんはこんな情報が欲しいだろうな」ということがわかってきていただけているということです。
このような収穫があったことも、読書普及活動をやってきてよかったと感じる部分でもあります。
これからも読書に関する情報を適宜発信していきながら、周囲に読書を普及させていけるような「読書普及活動」を実施し続けていきたいと思っています。
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