【 年間120冊読書計画 37冊目】
「ちょっと今から仕事やめてくる」
北川 恵海 著作 読了。
■ アスキーメディアワークス新人賞受賞作
電撃小説で有名な、アスキーメディアワークスの新人賞を受賞した「ちょっと今から仕事やめてくる」は、働く人なら誰もが感じたことがあるであろう「感情」を豊かに描いた作品です。
「働きたくないなぁ・・・」
「もう日曜日の夕方か、また仕事が始まる・・・」
「またあの上司に怒鳴られたよ、ちくしょう・・・」
こんな気持ちは、誰もが一度でも抱いたことがあるものではないでしょうか。
そんなありきたりな主人公の人生に転機が訪れ、「働く」「生きていく」ということを改めて感じさせてくれるストーリーです。
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大学を卒業して勤め始めた印刷業界の会社で、良い営業成績を上げられず、上司には毎日罵倒され、週に6日も働き続ける生活にうんざりしていた「青山」は、鬱病のような症状を患い、ついには自殺を試みようとしてしまう。
その時、学生時代の同級生と名乗る「ヤマモト」がその手を取り、間一髪で青山を救い出すが、青山にはヤマモトがどんなやつで本当に同級生だったのかさえ記憶になかった。
ヤマモトと知り合ってから徐々に人生が明るくなり始める青山だったが、この後とんでもないハプニングに遭遇する・・・
ヤマモトはいったい誰なのか? なぜ青山に手を差し伸べたのか?
読んでいくと徐々にその謎が解明されるように展開されています。
働く人達なら共感できるようなサラリーマンの心境をうまく表現していて、謎もありながら、最後は感動できるストーリーに仕上がっています。
思わず笑ってしまった、青山自作の歌をご紹介します。
『一週間の歌』 作詞作曲 青山 隆
月曜日の朝は、死にたくなる。
火曜日の朝は、何も考えたくない。
水曜日の朝は、一番しんどい。
木曜日の朝は、少し楽になる。
金曜日の朝は、少し嬉しい。
土曜日の朝は、一番幸せ。
日曜日の朝は、少し幸せ。でも、明日を思うと
一転、憂鬱。(以下、ループ)
ちょっと今から仕事やめてくる」の公式ページでは、この本の紹介とYoutubeの公式PVもありますので、興味があればご覧ください。 |
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■ 働くことについて改めて考えてみると
「働く」ということについて改めて考えてみると、色々な気持ちが見えてきます。
「働くために生きている」と「生きていく為に働いている」という言葉があります。
一般的には、生きていく為にはお金が必要で、お金を稼ぐためには働いて社会に貢献しなければならないから、生きていく為に働くことを選ぶ、という意味で「働くことと生きること」は認識されています。
事実、生きていく為には働かなければならず、より多く稼ぎ、より専門的な仕事につくために、学業を頑張って大学を目指す学生も多くなっています。
大手企業に就職したり、公務員を目指す学生が多いのも、前述の理由からでしょう。
でも、考えてみてください。
生きていく為に働いているということは、働くこと自体にあまり意味が見出しにくいと思いませんか?
1日の内10時間働いているとしたら、寝る時間を8時間で計算すると、起きている時間の60%弱も働いていることになります。
定年退職まで働き続けるとなると、人生の半分程度は、働くことに使う計算です。
生きていく為に働いていたはずなのに、人生の半分も働くことに使うのであれば、働くことは「人生の半分の価値」を担っていることになります。
さらに言えば、働く以外の残りの半分の人生は、疲れを癒すことや会社への通勤時間、働くための勉強、職場の付き合いなどにも使われます。
これらをすべて加味すると、人生の大半を「働くこと」に使っていることになります。
よく考えなければいけないのは、働くことに人生の大半を使っているのにも関わらず、自分の好きでもない仕事に時間を使っていては、人生そのものが豊かになるとは思えないということです。
最初は嫌いな職場だったけど、働いている内に自分のやりがいを見つけることができた、というのならそれもいいのかもしれません。
しかし、不満を抱え、やりがいも見つからず、他にやりたいことがあるのに・・・と思っているのなら、「ちょっと今から仕事やめてくる」のように、自分の合う仕事を探す決断を下すことも正解だと思います。
働きながら、自分のこれからの人生について考えて、いずれは理想とする仕事をしながら人生を有意義なものにしていく。
私達には、そうした自由を選択する権利があると、私は思っています。
それでは、37冊目、読了です。
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ちょっと今から仕事やめてくる<ちょっと今から仕事やめてくる> (メディアワークス文庫)
posted with amazlet at 15.05.23
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